
年齢と共に肌トラブルが目立つようになってきたと悩んでいる人は多く見られます。その際にアンチエイジングの効果を求めて、スキンケア用品やサプリメントなどを使用することもあるでしょう。ここで気を付けなければならないのが、薬事法での効能表現です。
結論として、「アンチエイジング」という表現はNGで「エイジングケア」と表示することで違法にはならないとされています。この違いについて詳しくみていきましょう。
具体的にアンチエイジングとは?
薬事法でよく引っかかってしまう表現が、「アンチエイジング」というワードです。よく耳にする言葉ですが、まずはこの「アンチエイジング」についてどういった意味があるのかを知っておく必要があります。アンチエイジングは英語では、anti-agingと書きます。
agingは「加齢」や「老化」、antiは「抵抗」という意味です。つまりanti-agingで、「抗加齢」や「抗老化」という意味合いを持つことになります。アンチエイジングは医療業界や美容面においてよく使われる語です。
ここでは特に美容面に関して、見ていくことにしましょう。年と共に美容面においてさまざまな老化が現れてきますが、見た目のエイジングを遅らせることがまさしくアンチエイジングというワードが持つ意味と言えます。
アンチエイジングとエイジングケアの違い
薬事法では、化粧品と医薬部外品においてその効能の表現を気を付けなければなりません。認められた範囲から外れてしまうと違法になってしまいます。場合によっては罰金となるので、事前によく確認して表示する必要があります。
特に「アンチエイジング」というワードは要注意です。薬事法ではアンチエイジングではなく、「エイジングケア」という語を使用するように推奨されています。そこでまずは「アンチエイジング」と「エイジングケア」の2つの語の違いについて知っておくことが大切です。
「アンチエイジング」は老化や加齢の進行を抑えて若返り効果を期待することを言います。一方で「エイジングケア」は、現在の肌状態に応じて年齢に応じたケアを行うことになります。サプリメントや化粧品の認められた効能範囲で行う美容メンテナンスと言えるでしょう。
若返りを目的にしていない点がポイントです。そしてこうした年齢相応の美容ケアとしての「エイジングケア」は、薬事表に引っかかりません。問題のないOK表現となるのです。
薬事法での表現で気を付けるべき点
「アンチエイジング」ではなく「エイジングケア」という語であれば、薬事法に通ります。しかしながら内容や目的によってはNGになるケースもあるので、よく注意して使うことが大切です。気を付けるべき表現として、若返りや老化防止、シワ・たるみを防ぐといった効能効果を目的に「エイジングケア」を用いるのはNGです。
これはただ、「アンチエイジング」という語の言い換えに過ぎません。そのほかにも、加齢による老化の防止効果や肌質改善をして老化防止を標榜するものは引っかかってしまいます。つまりは、今の肌の状態を超えてもっと若くなるようにサポートする効能の場合は、「エイジングケア」も使えないというわけです。
現在の状態を維持するための「エイジングケア」であることを意識して使用するようにしましょう。
化粧品などで見られるエイジングケアの表示例
「エイジングケア」という表現を使ったOK表示例を挙げていきます。基本的に、年齢に応じた使い方やメーキャップ効果につながる表現であれば問題ありません。「年を重ねた肌にうるおいを与えるコラーゲン成分を配合したエイジングケア」「美しく齢を重ねるために大切なこと、それはうるおう肌のエイジングケア」などはOKです。
これらは年齢に応じた肌ケアをすることを「エイジングケア」としています。また「年齢のサインであるシミをおおうエイジングケア」や「年齢によるシミを見えにくくするエイジングケア」なども、薬事法に従っています。
これらはメーキャップ効果、いわゆる「色彩によって覆う、隠す、見えにくくする等の物理的効果」を伝えているからです。若返り効果ではなくメーキャップ効果を目的とする表記はOKです。
うるおいなど薬事法に違反しない表現に気を付けるにはどうすればいいか
エイジングケアのNG表示例
たとえ「エイジングケア」という語を使ったとしても、素肌の若返り効果や老化防止効果、シミシワの改善効果などを表す表現はNGです。具体的には、「あきらめないで。エイジングケアで若さは再び戻ります」「老化を招く活性酸素を取り除いて、若々しい素肌へ導くエイジングケア」といったアピールは若返り効果を謳っているので違反になります。
「肌の老化対策エイジングケアとして開発された美容液」という商品説明もアウトです。まさしく老化防止効果を宣伝しているからです。また「皮膚の老化メカニズムに着目!エイジングケアで目覚めれば若返り!」などもNGなので注意しましょう。
商品の配合成分の説明なども、慎重に表示しなければなりません。「肌の老化を防ぐ!コラーゲンの生成能力を高める○○○成分によるエイジングケア」などは、一見成分について明確にしてあり問題ないように思われます。
しかし肌の老化防止に特定の作用があるという表現をしてしまっています。これは薬事法では違反となるのです。化粧品等の効能効果の範囲内であるかどうかもよく確認して、広告宣伝や成分説明をする必要があります。
上手に「エイジングケア」という表現を使うには

メーカー側としては、働きかけたい効果を薬事法に引っかからないように表現するのはなかなか難しいものです。宣伝広告にも経費がかかっているわけで、物足りない表現では売り上げにもつながらず惜しいでしょう。そこでおすすめは、文字表示に関してはきちんと薬事法を守りながら、使用する写真などでアピールする方法です。
年齢相応のケアの範囲内での表示をしつつ、肌が活き活きと蘇っているようなポスターにするなどの工夫をします。客側は写真に目が行きますので、文字以上のインパクト効果が期待できるはずです。上手に文字表示と写真を組み合わせて、薬事法の範囲内にて販売促進ができれば何よりではないでしょうか。
薬事法は2021年より、違反すると課徴金制度が導入されました。表現ひとつで罰金になっては残念な限りですので、無理せず賢く宣伝アピールを行っていきましょう。
薬事法に引っかからないように販促していきましょう
「アンチエイジング」と「エイジングケア」の語の相違点や使い方ポイントが分かりました。薬事法はとても微妙なラインで引っかかってしまうケースも少なくありません。宣伝広告、ポップカード、ホームページ作成などさまざまな点において要確認することが何より重要です。
「エイジングケア」というワードの適切な使い方を心がけると共に、写真画像も取り入れて販売促進していきましょう。