薬事法による化粧品の表現方法

2021年に新しく、薬事法が改正されました。化粧品の効能に関する表示においても、違法の場合は新たに課徴金制度が加わることになっています。悪気はなくともうっかり表現ミスをしてしまうことが多いのも現状です。

ここでは化粧品の薬事法に関して、特に効能表示について正しい知識と常識を説明します。法による規定を知って、薬事法にひっかからないようにしたいものですね。

薬事法とはどういうものか、わかりやすく説明します

そもそも薬事法とは?

薬事法は別名、薬機法とも呼ばれます。医薬品医療機器等法を略した言い方でもあります。商品の品質や有効性、安全性のために法律により細かくいろいろなことが決められています。製造や表示方法をはじめ、広告の仕方も規定を守らなければなりません。

薬事法では化粧品は、「人の身体を清潔にして美化するため」に使用されるものとされています。また「容貌を変えると共に、皮膚や毛髪を健やかに保つため、身体に散布や塗擦などの方法で使用する物」になります。そして「人体に対する作用が緩和」であることも条件です。

スーパーやドラッグストア、百貨店などさまざまな場所で化粧品は販売されています。広告宣伝などの際にも、薬事法を守らなければ違法となってしまうので注意が必要です。

薬事法での化粧品の効能表示

肌トラブルや傷んだ髪など、美容面での悩みを抱えている人は非常に多いものです。そうしたコンプレックスや症状を緩和改善に導くために、化粧品の存在は大きいです。販売側としても、できるだけ商品の魅力をしっかりと伝えたいと考えるのは当然のことでしょう。

しかしその結果、ちょっと誇大表現をしてしまい薬事法に引っかかってしまうケースも少なくありません。実は薬事法でOKとされる効能表現は56種類と決まっています。56種類以外の表示方法の場合、薬事法違反になる事例も多々あります。

その表現を法人ではなく個人がしても、違反になってしまうので厳しいです。例えば個人の感想だと付け加えても、表現の仕方によっては違反と見なされるのです。まずは誰しもがきちんと、薬事法の表現方法についてOK例とNG例を知っておくことが必要と言えます。

頭皮や髪の毛に関する効能表示

サラサラの髪の毛になりたい人やフケに悩む人などは、頭皮や髪に関する化粧品の効果を期待するものです。しかし例えば「このシャンプーを使えば髪質も変わる、内側から変わっていく」といった表現は違反になります。髪質そのものを改善すると言い切ってしまうのは、薬事法では認められていないのです。

そのほかにも、「植物原料100%にこだわったシャンプー」という言い方もNGになります。なぜなら商品の洗浄系成分は植物原料由来であったとしても、製品の全て100%が植物原料ではないからです。このように一見何の問題もないような表示も薬事法違反になる恐れがあるので、気を付けましょう。

OK例としては、「頭皮、毛髪を清浄にする」「毛髪にはり、こしを与える」「クシどおりをよくする」「フケ、カユミを抑える」「毛髪の帯電を防止する」などが挙げられます。また、他社製品との比較した表現方法も違反になることがあるので要注意です。

肌に関する効能表示

シミやシワ、たるみや毛穴の開きなど肌に関する症状は多種多様です。そして年齢と共にますます、そうした肌トラブルは目立つようになってきます。何とか若返りや美肌を維持したいと多くの人が化粧品を頼ります。その際に、表示されている効能や口コミ、メーカー側のアドバイスなどを事細かくチェックする機会も多いでしょう。

しかしながらそれらの効能表示が薬事法に違反していたなら、場合によっては罰金となってしまいます。例えば、「皮膚の内側から明るく、さびない肌に」というキャッチフレーズを読むと、「アンチエイジングに良さそう」と客側は感じます。

しかしながらまさにこの表現こそが、薬事法違反です。皮膚の酸化を防ぐ作用は、薬事法では効能効果の逸脱にあたるのです。「日焼けした肌をクールダウンできます」という表現も、日焼け後のほてりの訴求は化粧品の効能効果として認められないのでNGです。

こうして見てみると、実に細かい部分でアウトになってしまうことが分かります。細部まで注意を払って慎重に効能表示する必要があります。認められている表現は、「肌のキメを整える」「皮膚をすこやかに保つ」「皮膚を保護する」といった言い方です。

「肌にツヤを与える」「ひげを剃りやすくする」「日やけを防ぐ」なども、OK表示になります。OKかNGかの見極めが難しい点もありますので、薬事法分析表などを駆使して確認するのがおすすめです。

唇や爪に関する効能表示

唇は薄い皮膚であり、乾燥やめくれに悩む人もたくさん見られます。そこで活躍するのがリップクリームですよね。以下、リップクリームなど唇に関する効能表示のOK例になります。「口唇の荒れを防ぐ」「口唇のキメを整える」「口唇にうるおいを与える」「口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ」などの表現は問題ありません。

一方、「唇への有効成分を高濃度で」というアピールは違反です。化粧品には有効成分は配合されないため「有効成分」と記した時点でアウトです。最近ではネイルケアの化粧品も人気がありますよね。爪に関する効能表示では「爪を保護する」「爪をすこやかに保つ」「爪にうるおいを与える」などが薬事法に従ったOK例になります。

うるおいなど薬事法に違反しない表現に気を付けるにはどうすればいいか

歯や口臭に関する効能表示

ブラッシングを行う歯磨き類についてのOK表示例です。「ムシ歯を防ぐ」「歯を白くする」「歯垢を除去する」「口臭を防ぐ」「歯石の沈着を防ぐ」といった表現が薬事法に触れません。「歯を白くする」と断言しているのは良いのかと感じる人もいるかもしれませんが、これは問題ありません。

ただし商品に関して「世界初・特許公開」といった文句を付けえくわえた場合は、薬事法に引っかかります。「特許」という表現は、消費者に特別良い製品という誤認を与える恐れがあるからです。「特許ありの歯磨き粉」などの言い方は、広告基準において使用しないように指示されています。

薬事法で引っかからないために

このように見てみると、薬事法に違反しているかどうかの見極めが分からないと感じる人もいるのではないでしょうか。簡単な判断法は、薬事法OKの56項目の効能に従ってその範囲内での効能表示をすれば安心です。また「安心」「安全」「治る」「効果」「改善」の5つのキーワードを使わないようにするだけで、薬事法違反の可能性は低くなります。

これらに気を付けて、問題のない化粧品効能表示をしていきたいものですね。