アロマの普及と薬事法における正しい扱い方について

健康ブームや心身のリラックス効果への関心からアロマが注目されています。エステで用いられる他、個人で所有して趣味で楽しむケースも少なくありません。一方で病気が治るなど薬事法に抵触する内容の広告が問題視されるケースもあります。

ここではアロマの特徴や上手な選び方、薬事法における正しい広告の作り方などをお伝えします。

薬事法とはどういうものか、わかりやすく説明します

古くから伝わっている香りを楽しむ娯楽

アロマは香りを意味する英語であり、アロマを用いた療法をアロマテラピーと呼びます。動物にとって香りは様々な事柄を知るための情報源であり、それは人間にとっても同様です。食べ物や花の香りを心地良く感じる一方、死骸や排せつ物など有害な成分を含む物が発する匂いは不快に感じるようになっています。

これは香りの良し悪しを判別することが自分の命を守ることに繋がっているためです。文明が進むにつれ、香りは単に安全であるか否かの判別手段ではなく、心地良さを楽しむ手段になりました。草花を乾燥させたり、絞って取り出した油を加熱することでそれぞれが持つ固有の香りを楽しむようになったのです。

香りを楽しむ娯楽は文明が誕生した頃にはすでに一般的だったと言われています。古代の中国やエジプトでは乾燥させた草花を燃やすための小鉢や、発生した香りを効率的に吸い込むための筒状の器具が使われていました。また、自分の体に香りの成分を含んだ水を振りかける行為が広まったのもほぼ同じ時期とされています。

香りの良し悪しでその人への評価が大きく変わることから、結婚式や王位の継承など、重要な局面で自分の体に良い香りを持たせる工夫が広まったのです。特に体を洗う習慣が廃れた中世の欧州では、不快な体臭を誤魔化すために香水が作られるようになりました。

衛生への意識が向上した現代においても、香水は心地良い香りを楽しむ手段として普及しています。一般的に用いられているアロマという言葉はお香などを燃やしてリラックスする行為の意味が含まれています。日本でも古くから線香が使われていましたが、宗教的な意味合いではなく純粋に娯楽としてお香を燃やす習慣が広まったのは昭和になってからです。

それ以前は茶道などごく一部の界隈において、香木を熱して香りを楽しむ遊びがありましたが、香木の入手が困難だったことから外国のように香りを楽しむ娯楽は広く普及するには至りませんでした。

アロマを手軽に楽しむ方法

お香を燃やして発生する香りを楽しむアロマは手間がかからず、手軽に楽しめる娯楽です。燃やすためのお香と灰をこぼさない不燃性の受け皿があればすぐに楽しむことができます。アロマは雑貨店などの小売店で購入できる他、近年ではお香専門の通販サイトも数多く開設されているので、珍しいお香を入手することも難しくありません。

お香の種類は多彩なので、自分好みのお香を探すのに迷ってしまうと言っても過言ではありません。アロマ専門店では様々なお香をブレンドして販売する所もあるので、自分だけのオリジナルな香りを楽しむこともできます。

エステではアロマによるリラックス効果を謳う所もあるので、心身の疲れを緩和させるのに役立つと言えるでしょう。

アロマと薬事法の関係

アロマテラピーのように香りを用いた療法が知られていますが、日本においてアロマに用いるお香は基本的に薬事法の対象にはなっていません。あくまでも雑貨の一種であり、「肌に張りが生じて艶やかになる」など、特定の効果を謳う広告を作ることはできないと定められています。

同様にお香を薬品や化粧品として扱うこともできないので、販売の際は注意しなければいけません。一方で含有成分によっては化粧品の一種と見なされることもあります。そのため、小売店やエステで扱う際は個別に確認するのが賢明な対処法と言えるでしょう。

悪質な業者は特定の効果があるかのように謳うことがあるので、小売店などの施設を利用する際は事前の確認が必須です。

法律に抵触しない広告の内容

アロマに関する広告を作る場合、「症状を解消させる」「肌が綺麗になる」など、特定の効果を謳う内容は避ける必要があります。アロマはあくまでもリラックス効果を得られる嗜好品なので、その点を踏まえて広告を作ることが重要です。

一方で刺激的な内容にすることが難しく、注目されにくい事実は否定できません。そのため、薬事法に抵触せず、尚且つ人目を引く広告を作るには「本邦初」「多くの人が愛用」など、興味を抱かれやすい文面を用いるなどの工夫が求められます。

香りによる効果は個人差がある

アロマは心地良い香りを楽しむものですが、香りの良し悪しは絶対的な定義が存在せず、人によって好き嫌いの差がある点に注意しなければいけません。ある人には心地良い香りでも、別の人には不快な悪臭と感じられることがあります。

特にアロマに使われるお香はクセの強い物が少なくありません。人を選ぶ香りを発する物が珍しくないことから、万人受けする香りを探すのは容易ではないと言えるでしょう。反面、好きな人にとってはどれだけ嗅いでも飽きないのも事実なので、好みに合致するお香が見つかれば理想的な固定客になると言っても過言ではありません。

小売店やエステでアロマ関係の業務を成功させるには個人の好みの違いを正しく認識することが何よりも重要です。香りの良し悪しを決める根底には、本能や生命維持に関係する事柄があります。食べ物の香りを心地良く感じる人が多いのは食べることが生きることに直結しているためです。

花の香りを良い香りと感じるのも同様であり、花の蜜には豊富な栄養が含まれていることから「良い香り」と認識していると言われています。反面、本能とは別物である理性や個人の価値観などで香りの良し悪しを決めるのは人間ならではの特徴であることから、どのような香りが良いか悪いかを一概に言い切ることはできません。

香りに自分だけのこだわりを持つことこそ、人間であることの証と言えるでしょう。

香りに対する真摯な姿勢が求められる

香りの良し悪しは人によって異なりますが、香りを楽しむ娯楽は人類の歴史に直結すると言っても過言ではありません。現在でもアロマテラピーのように、香りを用いた療法が広まるなど香りと人の暮らしは切っても切れない関係にあります。

しかし、アロマに用いるお香は日本においては原則、薬事法の対象ではないので薬品や化粧品のような扱いはできません。あくまでも心因的な効果が期待できる物として扱う必要があります。

薬事法による化粧品の表現方法